子どもの自主性を伸ばすために

自主性が伸び、自らの意志を持って勉強をし、目標に向かってゆく子どもたちが生まれる・・・このような子どもたちに育ってゆくことを願う方は多いのではないでしょうか。

私が提案したいのは、保護者の方が、子どもたちと一定の距離を置きつつ、子どもたちの目線に立って関わることです。

この場合、あくまでも主体者は子どもさんです。保護者は、助力者、同伴者という立場を崩さないことが大切です。

保護者の方が、子どもたちに、ああしなさい、こうしなさいと口うるさく言っても、子どもたちは命令されていると受けとめますから、いやいやするか、反発するかだけになります。幼いころからこのような関わりをしてゆけば、今まで言うことを聞いていた子どもも、突如として反抗し、言うことを聞かなくなるでしょう。

しかし、これは、突然起きたのではなく、内面では「いやだなあ」と思っていたことが、行動や態度で、荒々しく関わりだしただけで、原因は前からあったと考えるべきだと思います。もちろん、反抗期が悪いことではなく、大人になろうという成長への一里塚ですが、うまく乗り越えてもらいたいと思います。

たとえば、子どもたちの学校や塾などで、テストがあるとします。テストは、子どもたちにとって試練です。入試は最も大きな試練だと言えるでしょう。こうした時に、子どもたちの立場、目線に立って、一緒に作戦を立ててみる。あくまでも子どもの意志を尊重しながら、目標を決め、そのためにどのような計画を立てると良いか、どのようなライフスタイルを整えるべきか、一緒に考えます。

テストの結果が悪くても、結果を叱るのではなく、結果を一緒に分析して、どのような点が足りなかったか、良かったところはどこか、これからどのように立ち向かえばよいか聞いて差し上げて下さい。そして、あくまでも、「答えは子どもが持っている」という前提で関わっていただければと思います。

保護者の方ができるのは、このままいけば、こんな風になるかもしれないよという最悪の場合の想定をすることです。

原子力発電所の問題でも、想定外という話が飛び交う昨今ですが、子どもたちと話し合う時には、想像力をフルに活用し、だからこそ、最悪の事態に準備して、今できることをしていこう、と伝えてあげてください。

ただし、この時に、注意したいのは、誘導尋問のように「脅し」ながら、「これをしておかないと最悪の事態になるよ」という言い方です。これは、決してしないでください。

保護者が、勉強するように言わせようという思いがあったら、その気持ちが先に子どもに伝わりますから、子どもの意志を尊重しているのではないので、「お母さんは、また自分に勉強させようとしている」と思われて、反発する思いを増幅してしまうでしょう。

あくまでも子ども自身が、選択し、このようにしたいと意志を持って決めることが重要なのです。