東日本大震災より2か月がたって

 今回の大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 東日本大震災が起こり、3月11日以降、私たち日本人の意識は確実に変わりつつあります。特に子どもたちにとって、この大震災は、さまざまな影響を残すことになりました。

 それは、被災地の子どもたちのみならず、被災していない子どもたちにもあの時の映像は、子どもたちに多大な恐怖心を与えていきました。特に、小学生以下の子どもたちにとって、今まで何不自由なく守られて生きてこられたものが、あっという間に自然の脅威に呑みこまれてなくなってしまうことに、ショックを隠せなかったと思います。

 「この世の中は何が起きるかわからない。恐ろしい場所」という、イメージが心の奥底にすりこまれたかもしれません。これによって、子どもたちのエネルギーが出なくなってきているという話を聞きました。

 しかしです。私は、ここからが教師や保護者の方の関わり方が大切だと思えてなりません。この世の中は、いつ何が起きるかわからない。「だから、自分の身だけは守れるようにしなくちゃね」とだけ言って関わるのか、それとも「だからこそ、何かがあっても人間は助け合わなくちゃいけない。今は、まだ何もできないかもしれないけれど、10年後には、多くの人を救える自分になろう」と言って関わるのか、10年後の子どもたちの人生は大きく変わるのではないかと思っています。

 震災の時、世界各国の人が、日本人の行動は称讃に値すると言いました。そして、自らの命を捨てても、人々を救って亡くなられた方々の後日談を知りました。自分の都合や欲得で生きてきた人たちが、こうした東北の皆さんの心ある行動を目にして「本当に大切なものとは何か」と自らに問い、ここに答えがあると思ったから、称賛されたのではないかと思えてなりません。

 東北が復興するために、日本が本当の意味で復興しなければならないでしょう。私たち大人が、未来そのものである子どもたちにどのように関わるか、問われているのではないかと思いました。

 東北の方の痛みを我が痛みのように感じられる心、何かして差し上げたいのに、何もできていない申し訳なさ、このような気持ちを持っているならば、その気持ちを忘れず、集中力や忍耐力・創造する力などを鍛えて、多くの人を救ったり、世の中の役に立てる専門能力を養っていただきたいと願わずにおれません。