教えるほどに「考えない子」になってゆく悪循環を考える-2
教えるほどに「考えない子」になってゆく悪循環を考える-2
……「考えることが大好きな子」への転換
こんな中で、私が到達したのが、今、塾で実践している指導でした。
今まで、子供たちは、中身が空っぽだから、私たち教師が手取り足取り教えていかなければいけないと思っていたのです。
けれども、どの子にも、無限の可能性がある。もうすでにそうした力を秘めていたのです。
そして先に子どもたちに教えることを辞めました。
子どもたちはもともと力を持っている。それを信じて引き出してあげたい。「子どもたちの自立を促す塾」これこそ、私の求める解答のように思いました。
私たちが教えるべきなのは、解き方ではなく、「試行錯誤の仕方」ではないかと思うようになりました。
決して解答や考え方やヒントも与えないで、自分の力で解けるようにしようと思いました。けれども、子どもたちは、文章を絵や図に直すこともしたことがない子がほとんどです。
だから最初、子どもたちに同伴し、絵や図の描き方の例を教えることも必要なことでした。しかし、子どもたちは、少しずつ、絵や図を書き出し、教えられなくても解けるまで自分でがんばれるようになってきたのです。
今、「考えることが大好きな子」「1問解くのに、30分でも1時間でも平気で考え続けられる子」「文章題が大好きな子」がたくさん誕生しています。
すべては、D君が私に教えてくれたことでした。「計算ばかりじゃ、つまらないよ」「いくら教えられて解いても、すぐに忘れちゃうよ」「もっとわくわくする勉強がしたい」そのような声なき声で、私に呼びかけ続けてくれたのだと思います。